さえない中年夫婦が、慣れない海外で右往左往した海外旅行記。
いよいよ、本格的に朝から観光である。
Early entrance to the Museums and Breakfastという、バチカン美術館での朝食付きの早朝入場チケットを予約している。このチケットは、バチカン美術館で朝食を食べ、その後で、通常の入場よりも早く美術館に入れるというチケットである。7:15にバチカン美術館に入り、館内のレストランで朝食を食べ、8:00に美術館に入場できる。通常の入場が9:00からなので、ほとんど人のいないバチカン美術館を1時間ほど堪能できる、というチケットである。68ユーロと、高価なチケットなのだが、結論からいうと、その価値はあった。
朝食付きなので、ホテルで朝食は食べずに、6:30ごろ、タクシーでバチカン美術館へ移動。7:00前に美術館に到着。さすがに、この時間には、美術館の入り口付近には、誰もいない。一方、美術館の出口の付近に人がたまっている。同じチケットの人たちのようである。このチケットは、出口が集合場所なのである。
時間になると、警備の人から、中に入るように言われ、中に入る。窓口が数カ所開いていて、そこで予約表をチケットに交換。再び、階段付近で待機。係の人が呼びに来て、中庭へ。ここのレストランで朝食である。
朝食はバイキング。1人旅の女性と相席であった。味はまあまあ。食事中に、レストランの外にガイディングレシーバーの係員がいるので、日本語のガイディングレシーバーを借りる。身分証明書が必要かもと、一応パスポートを持参していたのだが、それは不要であった。ガイディングレシーバーは、耳に当てるタイプのものであったが、昨日、ホップ・オン・ホップ・オフ・バスでくれたイヤホンを持ってきていたので、それをガイディングレシーバーにつける。
コーヒーを飲み終わって、さあ行くぞ、と席を立った時点で、朝食の人たちは、2〜3割ほどしか残っていなかった。みんないち早く美術館へ行っているのである。
まずは、最後の審判で有名なシスティーナ礼拝堂を目指す。以前来た時は、すごい人で、列を順に進んで行くしかなく、立ち止まるな、と言われた場所だ。人混みの騒音が大きく響き、写真撮影禁止にもかかわらずストロボの光とシャッター音が聞こえてくるという経験をした。ところが、今回は、人が少なく、静かで、話し声もみんなささやくように話をしており、写真撮影する不届き者もおらず、部屋の周辺にある腰掛ける場所でゆっくりと鑑賞することができた。
この後、一旦、システィーナ礼拝堂を出て、美術館の入り口の方に戻り、アテナイの学堂で有名なラファエロの間に行く。ここまでは、まだ静かだ。
再度、入り口まで回り込んで、前回来た時に見逃したアウグストゥスの像など作品などを見たり、人の少ない間にお土産物を買ったりしながら美術館を鑑賞。この頃には、一般入場の時間帯になっていたので、大混雑である。もう、鑑賞という感じではなく、ひたすら歩くという感じだ。ほとんど人のいない至福の1時間を手にできただけでも、高いチケットを購入した効果があった。
早朝なので誰もいない入り口
通常は出口の付近が集合場所
中庭のレストラン
ほとんど誰もいない
アテナイの学堂
アウグストゥスの像
3巡目は大混雑
昨日もサン・ピエトロ大聖堂へは行ったのだが、バチカン美術館からは別の通路があって、こちらから行くと短時間で行けるので、再度、行くことにする。昨日の夕方は、宗教行事をしていて行けなかったところにも行くことができた。
バチカン美術館からサン・ピエトロ大聖堂への通路
大聖堂の天井
コロンナ宮殿は、オードリー・ヘップバーン主演の映画ローマの休日の最後のシーンの舞台となったことで有名な場所である。バチカンからは少し離れているので、タクシーで移動することにした。有名な場所と思い込んでいたので、コロンナ宮殿という場所を運転手に言うと、知らないらしい。近くで客待ちをしていた運転手と相談を始めたのだが、その運転手も知らない。住所を見せると、2人で相談を始めて、それから出発した。本当に行き着けるのか少し不安であったが、きっちりと到着した。
ここは、土曜日の午前中しか一般公開していない場所なので、行くとしたら今日しかない。入り口は少しわかりにくい。迷う人が多いのか、広い道路沿いのところに、道順を表示した看板が立っていた。我々も、迷っていたので、その看板を見て、行くことができた。
外から見ると、何か平凡な建物のように見える。しかし、中に入ると豪華絢爛なのだ。入り口もチケット売り場も狭く、階段も狭い。でも、階段を上がって上の階へいくと、いきなり豪華絢爛という場所である。
なるほど、ここに、オードリー・ヘップバーンが扮した王女が立っていたのか、と思いながら見学。人間の奴隷がテーブルの足になっているのを見ると、そんな時代だったんだなあ、と思う。トイレもあるのだが、入り口は一見わからないようになっていたりする。宝石箱の豪華さなどにも感心する。バチカン美術館にも、ここ以上のものが展示されていたのだろうが、あまりにも広すぎ、人が多すぎた。ここのように、コンパクトにまとまった空間の展示の方がじっくり見ることができる。
行き方を書いた看板
平凡な入り口
中は豪華絢爛
奴隷が足になっているテーブル
トイレの入り口
昼食は、以前行ったことがあるピザ屋CAESAR PIZZAで食べる。ここは、ファーストフード店だし、ピザも焼きたてではなく焼いているピザをあたためるだけだし、店の中も狭いのだが、なぜか、おいしい。
ピザ屋
昼食後、一旦、ホテルに戻る。14:00ホテルピックアップで、アッピア街道と水道橋へ行く。プライベートツアーを予約してあったのである。それぞれの場所はバスや列車でも行けないことはないのだが、どちらもとなると車がないと難しい。しかも、あまりガイドブックにも情報はない。運転手とガイド付きの方がいいだろうということで、お願いした。
まずは、アッピア街道へ、全ての道はローマに通じる、の、最初にできた街道である。今では生活道路でなくなっているので、人通りも少ない。街道の入り口にあるサン・セバスティアーノ門にも入りたかったのだが、ここは午前中だけなので、断念。
街道の周囲には、昔の墓(というには、あまりにも大きな墓も)もあって、キョロキョロしながら少し歩く。
アッピア街道
チェチーリア・メッテラの墓
その後は、水道橋へ移動である。運転手さんがいるので、車に乗って移動できる。かなり楽である。周囲は、ゴルフ場やテニスコートになっている。
車を降りると、遠くに、クラウディア水道橋が見える。少し歩くと、徐々に大きく見えてきて、近くまで行くと圧巻である。観光客は、誰もいない。これだけの観光資源があるのに、放置されている(保護はされているようだが)というのは、もったいない。
水道橋は、これだけではないらしい。もう少し進むと、地元の人がいる水道橋へ行く。ここは、今でも水が出ている。共和国広場の噴水にも供給しているという。ローマ時代の水道橋が、今でも現役というのは、すごい。
この水道橋の大きさは、実際に見てみないと、その大きさが実感できない。これだけの設備を作ることができたローマ時代の技術力はすごい。
遠くに水道橋が見える
近づくとこんなに大きい
もう1つの水道橋(こちらは水が流れている)
水道橋の中
途中にあった看板
水道橋の後、少し時間があったので、サン・セバスティアーノ聖堂のカタコンペへ行く。ここは、アッピア街道沿いにあり、もともとは、ローマ時代には墓があったようである。ローマ時代に、迫害されていたキリスト教徒が、この墓の下を掘って、自分達の墓を作ったらしい。この地下洞窟をカタコンペというらしい。そのカタコンペの上に教会ができたということである。
カタコンペの全長は10kmくらいあり、迷路のようになっているので、ガイドがいないと入れない。カタコンペの入り口で、人数が集まるまで待っていて、教会のガイドについていく。私達のガイドも同行してくれて、一行の一番後ろから進む。私達には、日本語でガイドしてくれるので、ありがたい。カタコンペの中は、残念ながら写真撮影禁止。
キリスト教徒の墓だけでなく、ローマ時代のお金持ちの墓も残っていて、その墓の入り口にはエンブレムがかざってある。中も、外から覗くことができる。イタリア観光の中で、教会を見て回る機会は多いが、ローマ時代の墓で、きれいに残っているものを見ることができる機会は、この後もなかったので、貴重な経験になった。
教会では、結婚式をやっていた。下の写真で、着飾った人が多いのは、それが理由。
サン・セバスティアーノ聖堂
3時間のガイドツアーであったが、車での移動が楽で、効率的であった。また、ガイドさんも知識が豊富で、いろいろなことがわかって、非常に有益なツアーだった。
プライベートツアー終了時に、ホテルではなく、カピトリーノ美術館へ行ってもらう。ここは、20:00時まで開館しているからだ。
その車中で、この土日は、チルコ・マッシモで大きな催し物があり、交通が混雑しているという話が出ていた。なんでも、映画「グラディエーター」で主演をしていたラッセル・クロウが出演するのだそうだ。そういえば、昨日、ホップ・オン・ホップ・オフ・バスに乗っていた時に、チルコ・マッシモに舞台のようなものができていて、何なんだろうと思っていたのを思い出した。
カピトリーノ美術館の前には、マイルストーンの起点のオリジナルがある。アッピア街道に置いてあるマイルストーンはレプリカらしい。アッピア街道観光の締めくくりとしてマイルストーンを見ることができた。
この美術館の目的は2つ。1つは、ローマの建国伝説で有名な狼の乳を飲むロムルスとレムスの銅像を見ること。もう1つは、ここからのフォロロマーノが絶景ということなので、それを見ることである。
入り口の前には、マルクス・アウレリウスの騎馬像のレプリカがある。イタリアは、外に置いてある有名な美術品はレプリカが多い。
入場客はあまりおらず、すぐに入れる。ここには、日本語の地図はない。英語の地図が置いてあるが、非常にわかりにくい地図で、フォロロマーノが見えるところへ行くのに迷ってしまった。
銅像は、カピトリヌスの雌狼という名前らしい。どのガイドブックにも載っているのでオリジナルを見たかったのである。他にも、有名な作品がたくさんあるようなのだが、早朝から全開で観光していたので、足が棒になっており、他の美術品を見る余裕もなく、フォロロマーノが見えるいうところを探すのだが、疲れている時に限って、迷ってしまう。ギフトショップの横に階段があり、そこを降りて行くのが、唯一の経路のようだ。そんなところに経路があるとは、全く思いもよらず、かなり歩くことになる。この日は、トータルで23000歩も歩いた。
フォロロマーノの見晴らしは、すばらしい。疲れたところを、頑張ってきたかいがあったというものである。
マイルストーン(上の方に1という表示)
カピトリヌスの雌狼
フォロロマーノの見晴らし
何が見えているかの説明の看板
地図の看板(全く役に立たない・・・)
夕食は、美術館から徒歩圏内にあるジジェットである。ツアーの最中に、予約の電話を入れてもらったのだが、お昼の休み中で、予約できなかった。店が開く前に行けば、入れると聞いたので、開店前に到着する。
ガイドさんの話とおり、入ることができた。ただ、周囲の席は、かなり予約席があり、店に入ってから30分ほどすると満席。
ここは、アーティチョークのフライで有名な店なので、我々もそれを注文した。この料理は、少し苦みがあって、少し食べにくい。他にもいろいろと注文したが、人気店というにふさわしく、どれも、おいしく食べることができた。この店はユダヤ人街にあるのだが、さすがにローマで、遺跡もすぐ近くにある。
おなか一杯食べて、今日の長い1日は終わりである。
ジジェットの正面
名物のアーティチョークのフライ
すぐ近くにこんな遺跡があった
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