さえない中年夫婦が、慣れない海外で右往左往した海外旅行記。
ローマ4日目は、8月15日である。8月15日は、聖母の被昇天の祝日である。カトリック国であるイタリアはマリア信仰が熱心であるということで、いろいろなところが休みであるという情報があった。しかし、具体的にどこが休みなのかよくわからない。こればっかりは、行ってからの出たとこ勝負ということにしていたが、結論から言うと、本当にあちらこちらが休みで、観光客は路頭に迷っているという印象であった。
朝市へ行く途中で、トレビの泉に寄る。混雑はしていたが、9:00前ということで、朝早かったからだろうか、一応、後ろ向きにコインを泉へ投げ入れるところを写真に撮ってもらうことができる程度には空いていた。この後で、何回か朝早くではない時間対にここを通ることになるのだが、どの時間帯も混雑であった。写真を撮るなら朝早くというのは事実なのだろう。
朝早い時間のトレビの泉の様子(他の時間帯より空いていた)
トレビの泉でコインを投げることができたことに気を良くして、カンポ・デ・フィオーリの朝市へ向かう。ここは、ほぼ全滅であった。ほんの一部の店が開いていただけで、閑散としていた。空いている店の店員の外見から判断すると、空いている店は店員が中東系の人であった。このことから推測するに、おそらく店員がカトリックの信徒である店は休んでいたのだと思う。翌日、ここへはもう一度来るのだが、その時は多くの店が開いていたので、理由はともかく、聖母の被昇天の祝日でほとんどの店が閉まっていたのだ。
我々だけでなく、他の観光客も、この場所で、あてが外れたかのように途方に暮れている様子であった。我々も途方に暮れていたのだが、パンテオンは、神殿なので、聖母の被昇天の祝日とは関係ないだろう、という推測のもと、パンテオンへ向かった。
パンテオンは神殿跡である、というのは正しい理解である。しかし、後にキリスト教の教会になったということで、この日は、何とミサをやっていて中には入れなかった。まさかの事態でぐったりと疲れた。
パンテオンでの聖母の被昇天の案内
建物の中に入るところは全滅かもしれない、ということで、建物ではないオープンスペースへ出かける。ローマへ来てからまだスペイン階段へ行っていなかったので、まずはスペイン階段へ向かう。ここは、当然、普通に観光客で一杯であった。
その後、だめもとで、サンティニャッツィオ教会へ行ってみる。ここは、ポッツォのだまし絵で有名な教会である。予算不足で、教会の中心のドームが作れなかったので、絵でドームに見えるようにしたというものである。この中は、入ることができた。
ドームのだまし絵で有名な教会だけあって、中に入った人はみんな天井の方を見ていた。絵はがきも売っていて、このドームの絵が中心である。
スペイン階段
どうも、今日はいろいろ動いても、あちらこちらが休日だったり、ミサをやっていて入れなかったりである。昼食をどこで取ろうかと思案した。昨夜サッカーの試合のTV中継で怖い思いをしたアイリッシュレストランだが、味はよかったこと、アイリッシュレストランなので休日ではなさそうなこと、万が一休日でもホテルの近くなので最悪はホテルで昼食を取れば良いということで、昨夜怖い目に遭ったアイリッシュレストランで昼食を取る。さすがに昼食なのでやっかいなこともなく、遅い昼食を食べることができた。
その後、どこへ行こうかと思案する。建物として残っているところはパンテオンのように教会として再利用されている場合もある。完全な遺跡ならそんな問題もないであろう。ただ、遺跡として最も有名なコロッセオやフォロ・ロマーノには既に行っているので、さてどこへ行こうかと思案した。思いついたのがカラカラ大浴場である。問題は、ちょっと離れた場所にあって、交通の便が悪いことである。今日は、他に行くところも思いつかないので、少しくらい交通の便が悪く、旅行の効率が悪くなってもいいだろう、ということで、行くことにした。
往路はタクシーにする。タクシーで着いた途端、そのタクシーを待ちわびていたかのように、乗ってきた人がいた。どうやら帰路の交通手段確保は難しそうである。しかし、帰路は帰路ということで、まずは中に入る。
中は数組の観光客が観光しているだけであった。人混みで一杯のコロッセオやフォロ・ロマーノとはえらい違いである。では、そんなに大した遺跡ではないのかというと、そんなことはない。これが浴場跡かと思うくらい、広くて、残っている装飾もすばらしいものだ。とくに、タイル絵はすばらしかった。
この遺跡は、浴場を支えている水道設備跡も見ることができる。遺跡の中にある階段を下りていくのである。ここは、保存工事のために一度閉鎖され、2012年に再オープンしたらしい、水道路の柱なども見ることができる。誰も見ないであろう水道の中まで、装飾がほどこされていて、ローマ人の装飾好きには、びっくりである。
人混みの中で観光したコロッセオやフォロ・ロマーノに比べて、のんびりと自分たちのペースで観光できるので、おすすめの場所である。
ただ、予想通り、帰りの交通手段はない。バスもなさそうである。タクシーも来そうにない。ということで、一応、最寄りの駅という地下鉄の駅まで歩いていく。10分くらい歩いたところで、タクシーが通ったので、何とかそのタクシーをつかまえてホテルまで戻ることができた。ローマの中心地ではあきれるくらいたくさん通っているタクシーも、少し中心地から離れると通らないようである。
カラカラ大浴場の床のタイル絵
予定通りの観光もできず、そのおかげでかなりうろうろしたので、疲れ果ててしまった。ホテルに戻っても食欲がなかったので、近くのバーガーキングで夕食にする。フィレンツェ駅近くで入ったマクドナルドのきれいさに比べると雲泥の差である。どうやらここは、有色人種が食事に来るところのようで、まわりは有色人種だらけだった。注文を受けるのは女性一人である。サイズはSがなく、MとLとKとがあって、Kへは1ユーロでアップグレードできる。ステーキバーガーはおいしかった。
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